「特定調停」とは簡易裁判所を利用して負債を圧縮する手続で、支払不能に陥る可能性がある債務者が経済的再生を図る手続で、2001年2月から施行された新しい債務整理手続です。
特定調停を簡単に言うと、裁判所を利用した任意整理といえますので、特定調停を利用する目安となるのは、任意整理と同様に、利息制限法に基づいた引き直し計算後の債務を、3年程度で返済できるかどうかです。
保有している財産を処分して借金の返済に充てる必要がありません。
利息制限法に基づいて引き直し計算を行い借金の総額を減らします。 債権者との取引年数や取引状況などによりますが、特定調停することであなたの借金が減額される可能性があります。
一般的な消費者金融などに4~5年以上継続して取引している場合には、特定調停によって借金が半額位になることもあります。
特定調停すると、今の返済額よりも支払い額を減らすことができます。 調停後の残金にもよりますが、現在のあなたの収入から支払い可能な金額を基に返済計画を立てますので、今の生活より確実に楽になります。
特定調停の手続き期間中は支払いが一時ストップします。
特定調停の申し立てを行った時点で、取立てがストップします。
特定調停は個人で手続きをするので、家族に打ち明ける必要はありません。
原則として、今後の収入から生活費を差し引いた支払い可能額を基に返済計画を立てるので、一定期間で無理なく返済することができます。
ギャンブルや浪費などの理由でも、手続きを行うことができます。
国が発行している機関紙に掲載されることはありません。
特定調停は裁判所で行われますが、相手に強制できるものではありません。 交渉によって借金を減額できるものなので、債権者と合意に達しない場合には調停は成立しません。
取引期間が短い場合や、利息が法定金利に近い場合には、支払い総額がほとんど減らない可能性もあります。
ブラックリストに登録されてしまうので、約7年間は自分名義の借金や ローンの組み立てができなくなります。 また、新たにクレジットカードを作ることも難しくなります。
調停調書の内容を守らずに返済が延滞してしまった場合には、給料の差し押さえなど、強制執行される可能性もあります。
原則として特定調停では過払い金の回収までは行わないため、過払い金が発生している場合には、特定調停の申立後に、別途過払い金返還訴訟の提起が必要になります。
3~5年以内で返済するとの返済計画を定めるため、借金の額が大きすぎる人は利用できません。
「特定調停の流れ」を以下のようにまとめておきます。
1. 簡易裁判所に申し立て:この時点で債権者からの取立てはできなくなります。
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2. 裁判所から調停委員を指定:弁護士、有識者が選ばれることが多いようです
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3. 当事者間で協議:申立人は自身で何度か裁判所に足を運ぶ必要があります
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4. 調停成立:裁判所の方で調停調書を作成します
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5. 返済開始:調書に従って、3~5年計画で返済していきます