任意売却とは

一般的に住宅等を購入するために金融機関等でローンを組むと、それに関係する不動産に抵当権等の担保権の設定を行います。そして、事情により住宅ローンの返済が困難になったときには、金融機関はその担保権にもとづいて、不動産を競売にかけて、その売却代金で貸したお金の回収を行います。

しかしながら、実際には競売の手続きは、売却されるまでに時間がかかり、その売却価格も市場価格を下回る場合がでてきます。そこで、第三者が買主を確保し、金融機関等と債務者との間に入って交渉を行い競売手続きとは別に売却手続きをすすめていくことがあります。これを任意売却といいます。

各当事者の話がまとまれば、競売手続きは取り下げられ、普通の売買手続きとあまり変わらない流れで完了します。交渉にあたる第三者は不動産会社が多く、それも任意売却を専門に扱っている ところが多く見られます。

任意売却のメリットとデメリット

メリット

1.競売手続きで売却するより、手続きに要する時間が短く、売却価格が高くなることがあるため、債権者側にもメリットがあり、協力も得やすい。

2.交渉が可能なので、引越し日など細かい相談が可能な場合がある。

3.競売手続きより早く売却ができるので、破産手続きに早く入れる 。

デメリット

1.競売の取下げが任意にできる「買受申出人決定日」までに話がまとまらなければならない(実際には、それまでに登記等の手続きを行うことになる)。

2.交渉によるため、債権者・その他所有者・利害関係人・買主全員の意見がまとまることが必要である。

任意売却手続きの流れ

任意整理の始まりの代表的なスタイルとしては、債権者との返済に関する 話し合いの中で提案される 第三者(以下、不動産会社等という)に依頼して債権者に話をしてもらう必要があります。そして、主に不動産会社等やその提案をした債権者が 中心になって手続きを進めていきます。話を進めるうえで「売買価格の決定」と「買主の決定」は、重要なポイントになります。売買価格は債権者の債権回収率に大きく影響を及ぼしますし、買主の目星がついている場合は、話がより具体的になります。

1.債権者やその他利害関係人との調整

任意売却は、債権者や利害関係人の調整と合意が必要です。 調整は、前記のとおり主に不動産会社等が行っていきますが、債権者が数社となると、売買代金をどのよう分配して各債権者の返済にあてるのか、また、その返済額で承諾してもらえるのか、一部放棄は可能なのかなど、いろいろ調整をしていかなければなりません。また、税金の滞納はないのか、 建物であれば占有している人がいないかなど 早めに確認していく必要があります。 債務者側に手続上の不備がないか確認債権者の調整を図っている 間に 債務者側に次のような事項がないか確認します。 もし、該当するようであるならば、早めに手続きを行う必要があります。

1)不動産の所有者が亡くなっており、その相続登記を済ませていない  ⇒ 相続登記を行う

2)不動産の所有者または、共有者の1人が行方不明になっている  ⇒ 裁判所に不在者の財産管理人の選任を申し立てる

3) 不動産の所有者または、共有者の1人が病気等により意思疎通がはかれない  ⇒ 裁判所に成年後見人の選任を申し立てる

2.債務者側に手続上の不備がないか確認

すべての当事者が合意し、その他の手続きが完了し、売却手続きの準備が整うと決済日(実際に売買する日)が決まります。 決済日には、当事者を含め、関係者が集まります。依頼を受けた司法書士が担保権の抹消や 所有権移転等の登記手続の確認をし、売買代金の支払いが行われ、債権者により競売手続の取り下げがなされます。売買代金から各債権者へ返済を行い、様々な精算手続きが行われて、不動産は買主名義にかわり、返済を受けた債務はなくなります。

競売とは

競売とは、返済ができない債務者が担保にしていた不動産を債権者が裁判所に申し立てることによって売却する仕組みです。最低売却価格以上の最高値で落札するシステムが取られています。

一般的には競売は相場よりも安い価格で落札されるので、 残債務が多く残ることになります。 また、引越しの費用が自己負担になったり、競売情報が外に出回ることもあり、デメリットが少なくありません。

住宅ローン特則とは

「住宅ローン特則」とは住宅ローンの変更を認める制度です。 住宅ローンの支払いが滞ると、抵当権を実行され、住宅を失うおそれが生じます。 しかし、住宅ローン特則を含む再生計画案が認可されると、これに従って弁済すれば、住宅を失わずにすみます。

住宅ローン特則を使うと、住宅ローンの支払方法変更が認められることがあります。 残金は減額されませんが、残金の一括請求を待ってもらえたり、完済までの期限を延ばすことで月々の支払額を少なくしてもらうことができます。

個人民事再生では、この住宅ローン特則を併用して手続を進めるケースが増えています。

ちなみに、この住宅ローン特則を使っても、支払期限の延長は最大10です。そして、70歳までには完済しなければなりません。

貸金業者さえ同意してくれれば、この条件も緩和することは可能です。

ページトップヘ戻る